【夢想花】

 
 
 
 
 

 

――――久々に会ったアイツは、
              アノコロより、
                 ずっと美しく、
                     ずっと清楚に、
 
      そして、
 
――――はかなげになっていた…。
 
 
「犬飼くん、なりません!騒ぎを起こしては!!」

「黙ってろ、こいつに話がある」
 
 
――――アノコロと同じように、
          アイツの3歩後ろを歩きながら。
 
おせっかいなくらい世話焼きで、
いつだって他人のことを気にかけて、
自分はボロボロになっても笑顔でいた、
バカがつくほどのお人よし。
 
――――だけど、そんなバカを俺は…
 
「野球を捨てた負け犬。
 ここはテメーみたいななんちゃって野郎が
 ノコノコやってきていい場所じゃねーんだよ」
 
なんだか無性に腹が立って、腹が立って、かなわなくて。
俺は目の前のガングロ野郎に向かって悪態をつく。
 
だけど、俺の言葉を聞いて反応したのは犬飼だけじゃかった。
 
そう、アイツも。
いや、むしろ…
 
『アイツの方が』
 
「お前、いまだにあの夢見野郎の影を引きずっているのか?」
「!」
 
はき捨てるように言った俺の言葉に固まる二人。
 
「御柳君!口を慎みなさい!」
 
最初に声を放ったのはアイツ。
振り返ってそう叫ぶ。
だけど俺はチラっと見て、こう呟くだけだった。
 
「辰羅川か…、テメーもいつまで金魚のフンやってんだ。ウゼーんだよ」
 
けして本心じゃない言葉。
むしろ、羨ましかった。
何があってもアイツにそばにいてもらえた犬飼が。
 
…わかってたんだよ、アノコロから。
 
アイツが誰のためにバカになるまで尽くしてたか、
アイツが誰のために辛くても笑っていたか、
 
俺のためじゃない。
 
いつだって、
犬飼のためだけに。
 
どんなに俺がアイツを見つめてても、
アイツは犬飼しか見てなかった。
 
犬飼が「あの人」しか見ていなかったように。
 
「テメーがあの人のことを口にすんじゃねぇ!殺す!殺してやる!」
「抑えて!!犬飼くん、落ち着いてください!」
 
今でも、
 
アイツは犬飼を、
犬飼はあの人を、
 
そして俺はアイツを…。
 
俺は犬飼の罵声を浴びながら歩き出した。
絶対に振り返らない。
振り返ったら俺までキレちまいそうだったから。
 
 
 
 
 
 
 
――――…なぁ、お前たち。
          お互い、無謀な恋してるよな。
      俺たち3人、

          けして叶わない恋をしてるんだ。
      誰一人、な。
 
 
――――久々に会ったアイツは、
              アノコロより、
                 ずっとはかなげになっていた。
 
多分、知ってしまったんだろう。
この恋が叶わないことを。
 
もう、アノコロのように3人でバカやって過ごすことはできない。
人の心がわかるようになってきたから。
誰が誰をスキとか、わかってしまったから。
 
 
 
――――…なぁ、辰羅川。
       そんな辛そうな顔して、今、幸せか?
 
どうして…
お前が好きになったのが、
俺じゃなかったんだろうな…。
 
なんて、問いただしてみたって答えは返ってこねーけどな。
 
「…さぁ、試合開始だ。
 お前たちの夢、俺がつぶしてやる…」
 
俺にできるのはそれしかない。
俺からのプレゼントだぜ…。
 
はかない思いを壊してやる。
アノコロから引きずっていた思いを打ち砕くために…。
 
 
――――プレイボール!
 
 
 
 
END


13000番を踏まれた散花。様へ
ものすごい暗くてすみません(汗)
どうも芭辰はこのようなイメージが強く…(汗)
芭辰リクなのに犬←辰だのあの人←犬(犬→あの人)だの混じっててすみません!
そしてしかもくらい…(汗)
本当にすみませんでした!
懲りずにまたキリ番踏んでくださいね♪


THANKS 13000HIT☆

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